栄養はバランスよく、と良く言われます。フコイダン(食物繊維の一種)のように、ヒトが体内で生成できない成分は、食物で体に取り入れるしかありません。特に季節の変わり目は、実は栄養バランスに注意が必要なのです。皆さまはご存知でしたか?
季節の変わり目・春は栄養管理を大切に
春先になると徐々に気温も上昇し、暖かくなってきます。暖かくなってくると新陳代謝も活発になってきます。新陳代謝とは汗をかく、垢がでて新しい皮膚がつくられる、体内に蓄えられたエネルギーを消費するなど体内の古い物質が消費、排出され、新しく作られた物質と入れ替わることです。もともと人を含め動物は寒い冬場には食糧が少なくなるため秋に豊富な食べ物から栄養を摂り、冬には最小限のエネルギー消費で暮らします。そこで春先には冬に消費されなかった余分なものを消費、排出し、新たに栄養を取り入れて身体をもとの状態に戻します。現代の人間の社会では季節に関わらず食糧が手に入り、年中十分な栄養を摂ることができるようになりましたが、この代謝のリズムは大きく変わっていないと考えられます。「フコイダン」が含まれる海藻類も、日本人が古くから食してきたものです。ですので現代では秋に栄養を摂取した後、年末年始など冬に食べ過ぎになり、体内に脂肪などとして蓄えられやすくなる傾向にあります。そこで新陳代謝の活発になる春先に栄養管理をすることが重要になってきます。
ビタミンB群が代謝を良くする!?
代謝に関わる栄養素として知られている代表的なものとしてビタミンB群があります。ビタミンB群とは、水溶性ビタミンのうち、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、パントテン酸、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビオチンの8種の総称です。その中でもビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸が特に新陳代謝と関わっていると考えられます。ビタミンB2、ナイアシンは脂肪、炭水化物、タンパク質の代謝、ビタミンB6はアミノ酸の代謝、ビタミンB12はアミノ酸や脂肪酸の代謝、葉酸はアミノ酸や核酸の代謝に使われます。ビタミンB2はレバー、アーモンド、鶏卵などに、ナイアシンはカツオやサバなどに、ビタミンB12は海苔、貝、魚などに、葉酸は新鮮な緑黄色野菜や果物などに多く含まれます。これらは疲労物質の代謝を高めたり、疲れに関与しています。
調理法・栄養を考えてバランスの良い食事を
よく耳にするビタミンCはレモンなどの酸味の強い柑橘類に多く含まれていると思われていますが、意外なことに春が旬である食品を例にすると、イチゴ、春キャベツ、菜の花、えんどうまめなどの方が多く含まれています。しかしビタミンB、Cはともに熱に弱く水に溶け易いため調理には注意しなければなりません。焼き物や揚げ物ではなく、サラダや刺身といった生食か、もしくは汁まで味わえる煮物やスープが栄養学的に良いのではないでしょうか。
春先にはいろいろな植物が芽吹き始める季節でもあります。フコイダンが豊富に含まれるもずくも、春先から収穫時期を迎えることは、意外と知られていません。ですので春先には旬の野菜や海藻といった様々な食材を、栄養にも配慮した調理方法でバランスよく食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。