抗酸化物質を自ら作り出す、
野菜
平成30年の厚生労働省の国民健康・栄養調査によると、野菜の1日当たりの摂取量は280グラム程度であり、摂取目標量(350グラム)を大きく下回っています。
そこで今回は、野菜のもつ食品としての魅力をご紹介したいと思います。
野菜は、一般的には食用となる植物(草)のことを指します。
植物は、光のエネルギーを使い、水と空気中の二酸化炭素から炭水化物を作り出し、酸素を放出します(この過程を光合成と呼びます)。
光のエネルギーは、細胞のなかのクロロフィル(葉緑素)に吸収されます。吸収されたエネルギーが過剰な場合、そのエネルギーが酸素へ渡り、活性酸素が生じます。過剰な活性酸素は、植物の細胞を損傷させ、障害となる働きがあります。
植物は、光合成によって常に大量の酸素を作り出しているため、活性酸素への対応をしなければ、生き残っていくことができません。
この活性酸素を除去するため、野菜はカロチノイド色素、フラボノイド色素などの「抗酸化物質」を自ら体内で作り出し、活性酸素への対策をしています。
人間も、空気中の酸素を呼吸し、利用して生きています。体内に取り入れた酸素は、一部、活性酸素になります。しかし人間は、ビタミンEやカロチノイド色素、フラボノイド色素などを合成することが出来ません。そこで、野菜を食べることで、これらの抗酸化物質を摂取することが重要となってきます。
野菜の持ち味を生かした料理で、
元気に冬を乗り切る
野菜の食べ方として、サラダで生野菜を摂ることをイメージしがちですが、βカロテンなど、熱に強い抗酸化物質も数多く知られています。加熱料理することで柔らかくなり、さらに嵩(かさ)も小さくなるので、たくさん食べられるという長所があります。さらに、細胞が壊れて、抗酸化物質が溶出しやすく、吸収しやすくなる効果も望めます。
冬は野菜の価格が高くなることもあり、買い控えしたりしがちですが、寒さのために体調を崩しやすいこの時期、バランスの良い食事と十分な休養を取り、体力や抵抗力を高めることは大切なことです。
意識して旬の野菜を日々の食事に取り入れることで、冬を元気に乗り切りましょう。