動く植物、眠る植物
動物と植物の違いは何でしょうか?大きな違いが「動くかどうか」だと思います。今回は、不思議な「動く植物」について、お話ししたいと思います。
「動く植物」や「眠る植物」は古くから人間の好奇心を刺激してきました。紀元前400年頃にバーレーン島で発見された葉を閉じる植物をアレキサンダー大王に報告したものが最古といわれています。「種の起原」を書いたダーウィンは、晩年は動く植物の研究に傾倒しました。その後マメ科植物を眠らせないと枯れてしまうことや、ハエトリソウのような食虫植物が動く仕組みについて解明が進みました。最近ではマメ科植物が体内時計を持ち、体内時計を狂わせると昼夜で葉の開閉時期がずれてしまう、いわゆる時差ボケもすることが分かりました。
動くことでつなぐ生命
動く植物の代表格はオジギソウです。マメ科のオジギソウは、葉への接触・明暗・温度の刺激で葉をたたみおじぎをするように折れ曲がります。
オジギソウ
名の通り、葉の部分を触るとおじぎするように素早く葉を閉じます。
外敵や悪条件の天候から身を守るための防衛手段と考えられています。
マメ科のマイハギは、気温や振動に反応して葉が振動または回転運動します。中国の雲南省の伝承では、マイハギの側で歌いながら舞うとマイハギが一緒に舞うといわれています。
最速で動く植物として、オーストラリア原産の「トリガープラント」があります。この花は、おしべとめしべが一緒になった蕊柱(ずいちゅう)という構造を持っています。虫などが蕊柱の付け根を刺激すると、蕊柱は約0.1秒という目にもとまらぬ速さで虫にぶつかり、虫は花粉を身にまといます。虫が他の花でも同様にぶつけられることで受粉が成立します。また蕊柱は数分で元の位置に戻り、何回でもこのすばやい運動が行えます。
植物の動きは地球へのメッセージ
昆虫は特定の刺激により行動を変えることが分かっています。この特性を応用して、琉球大学では、トマトを装置で振動させる(動かす)ことで農薬を使わずに害虫を減少させる研究が進められています。
植物の動きは昆虫の性質を利用するように進化をしているようです。不思議な植物の動きは、生命の不思議そのものであり、昆虫を含めた環境そして地球そのものへの植物からのメッセージなのかもしれません。